【代表談話】神道政治連盟による同性愛差別記事掲載を憂慮します
神道政治連盟による同性愛差別記事掲載を憂慮します
去る令和3年(西暦2021年、皇暦2681年)10月1日発行の神道政治連盟の機関誌『意』において「同性愛と同性婚の真相を知る」と題する楊尚眞弘前大学教授(在日大韓キリスト教会牧師)の記事が掲載されました。
その記事においては「同性愛が生得的なものであれば、先天的に同一の影響を受ける一卵性双生児の同性愛一致率は必ず100%でなければならない」と言った、基礎的な生物学の知識の欠如が見られることを述べつつ「同性愛は先天的ではない」と言う旨のことが語られ、そして「同性愛は環境によって影響され生じたもの」「学校や社会で同性愛を正常な性愛と教えることで、次世代での同性愛者の数が急激に増加」等と言う認識を示しています。
さらに「回復セラピーや信仰的体験」によって「同性愛からの離脱」が行われているとも記されていますが、これは同性愛者のみならずアセクシャルやアロマンティック、或いは、性的指向と恋愛指向の一致しない人といった、数多くのSRGM(性・恋愛・ジェンダー少数者)への偏見を招きかねない文章です。
事実、楊教授は「同性愛は正常な性愛である」ということを「否定する言動や行為は差別とされ処罰の対象となる」可能性に懸念を示していますが、「処罰」云々については個人の学問・信教の自由との兼ね合いから慎重になるべきことは言うまでも無いものの、「同性愛は正常な性愛ではない」という認識を楊教授自身が持っていると解釈できてしまう文章です。
無論、信教の自由は最大限に尊重されないといけません。本会は綱領に「SRGMの正当な権利を、他の何者をも犠牲にしない正当な方法で実現させる」と明記しており、LGBT問題を口実に宗教弾圧を目的とするような法律を制定することには断固反対します。
しかしながら、今回神道政治連盟は専ら世俗的な事情で当該記事を掲載しています。というのも、神道政治連盟は神社本庁の関連団体ですが、今回寄稿した楊教授は現役の在日大韓キリスト教会牧師です(『福音新聞』2021年8月1日(日)第808号等参照)。
在日大韓キリスト教会は「天皇を神格化するような祭祀を認めることはできません」と言う理由で大嘗祭に反対するなど、神社本庁とは正反対の立場です。無論、在日大韓キリスト教会の信教の自由も尊重されなければなりませんが、問題は立場の異なる宗教団体が同性愛者への偏見を招く記事の掲載においては連携してしまっていると言う事実です。このような事態に、私はSRGM当事者の一人として深憂します。
楊教授はまた「フリーセックスの風潮」を始めとする「ジェンダーイデオロギーがさらに同性愛を助長」しているとも主張していますが、マイノリティの属性を特定の政治思想と結びつけるのは、在日朝鮮民族を「平壌政府」(自称「朝鮮民主主義人民共和国」)を結びつけるレイシストと同じです。
今回の事態を、私は深く憂慮する次第です。
令和4年(西暦2022年、皇暦2682年)6月30日
日本SRGM連盟
代表 日野智貴
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