Aceとスキンシップの有無は無関係?アセクシャルとアセンシュアルの違い
アセクシャルと言うと、よくある誤解の一つが「性欲って、無いの?」というもの。
性欲のあるアセクシャルもいれば、性欲の無いアセクシャルもいます。アセクシャルはあくまで「性的魅力を感じない」人たちだからです。
性的魅力を感じない・・・例えば「食欲がある」と「食べ物に魅力を感じる(=好物)」とは、必ずしも関係ありませんよね?ということです。
世の中には
「この食べ物には魅力を感じない(=苦手な食べ物)だけど、お腹がすいている(=食欲がある)から仕方なく食べる」
という人もいれば、逆に
「もう満腹で食欲は満たれているけれども、これは好物だから食べたい!」
という人もいますよね?性欲も同じです。
さて、話を戻すと、性的魅力を感じないということにも誤解があります。
ここで覚えてほしいことは
性的魅力と感覚的魅力は異なる!!
と、いうことです。
感覚的魅力とは、ハグをしたいとか、スキンシップをしたいとか、いうものです。
同性とハグをする人間が、みんな同性愛者や両性愛者というわけでは、ありませんよね?ヘテロセクシャルでも同性とハグをする人はいます。(逆に、同性愛者で異性とハグをする人はいるでしょう。)
同様に、Aceでも同性なり異性なりと、ハグ(等のスキンシップ)をしている人やしたい人はいます。
逆に、アセクシャルかどうか関係なく、スキンシップに魅力を感じない人も、います。そう言う人を「アセンシュアル」と言います。
アセンシュアルとはキス、ハグ、寄り添う、手をつなぐなど「触覚的な」ものに惹かれない指向ですが、無論、世の中には「キスは良くてハグはダメ」とか「ハグは良くてキスはダメ」という人も少なくありません。
キスを広義の性的接触に含める人からすると、キスに魅力を感じない人はアセンシュアルよりもアセクシャルに分類した方が適切化も、知れません。
一方、ハグについては「性行為には魅力を感じるけど、ハグに魅力を感じない」という「セクシャル・アセンシュアル」の人も、いるかもしれません。
逆に、アセクシャルだけどスキンシップを求める人は「アセクシャル・センシュアル」であるといえます。
無論、アセクシャルであり、かつ、アセンシュアルであるという人もいます。
性的魅力と感覚的魅力とを区別することは、当事者の自認においてはしばしば重要です。『見えない性的指向アセクシャルのすべて』では、次のような当事者の言葉も記されています。
「私は人に触れるのが好きです。ほとんどの場合プラトニックに、手をつないだり、ハグしたり、抱きしめたり、背中合わせに座ったり、隣に座って膝が触れ合ったり、ほかにもいろいろあります。人に触れたい気持ちには、いろいろな感覚が関わっていますが、私は『官能的魅力』と呼ぶことにしています。『肉体的な魅力』というと性欲を思わせますから。でも、確かにそれは性欲なのでしょう! でも私の「性欲」は性的なものではありません。状況がわからないと人はそれを性的なものに結びつけますが。」(『見えない性的指向アセクシャルのすべて』明石書店、58頁)
どこまでが性的な行為ではないか、は人にとって異なります。
添い寝をしても性的な意味合いを感じない人がいます。キスについても同様です。一方で、キスを性行為そのものと同じようにとらえる人もいます。手淫や口淫を性行為同様にとらえる人もいれば、そうは思わない人もいます。
このため、アセクシャルとアセンシュアルとの区別は外見的には困難ですが、当事者の間ではしばしば性的魅力と感覚的魅力とが区別されていることがあるのです。
(文責・日野智貴)
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